外壁塗装・屋根工事の屋根材について

ひとことで『屋根材』と言っても実は様々な種類の屋根があります。それは、長年の歴史の中で日本人が開発してきた物語でもあります。

区分けの仕方も様々ではありますが、①コスト面、②お家の長期耐久性面(屋根が重たいと家が長持ちしませんもんね)、③耐候性面(日本各地の自然環境の中で劣化から守るため)、④意匠性面(見た目のオシャレ)、などによって分けることができます。

ここでは以下の8パターンに分けてご紹介しておりますが、それぞれに特徴がありますので、順にご説明いたしましょう。

1.セメント瓦

 「セメント瓦」は、戦後から平成10年位まで使われていたようです。これは、型枠にセメントを流し入れ、固められてできています。他の種類の瓦も同様ですが、和形(湾曲)と平板型の2種類のデザインがあります。

 セメント瓦は、きれいに塗装をすることで劣化を防ぐことができます。
 ただし、傷んだセメント瓦は目が粗くなっており、下塗り剤を吸い込んで厚みがつきにくいことに注意します。そのため、塗装時のポイントとしては、プレミアムペイントの「ETERNITYex2」など十分に厚みがつくタイプの下塗り剤を使うと、綺麗でつるっとした仕上がりになります。

 また、台風時には、雨漏りや瓦の飛散があり「葺き替え工事」をご決断される方もおります。やはり、瓦が風に飛ばされ家の廻りでパリンとかガシャとか音がするのは、恐怖を感じますよね・・。

 そのため、セメント瓦屋根の葺き替え工事では、台風にも強い「耐風瓦(陶器瓦の一種)」に葺き替えるケースがほとんどです。ただし、陶器瓦はそれなりに費用が嵩むため、コスト面を気にされる方はコロニアル屋根に葺き替える場合もあります。

葺き替え時ワンポイント

野地板やルーフィング(防水シート)が傷んで雨漏れすると、葺き替え工事が必要になりますが、セメント瓦は現在あまり製造していないため、予備の瓦を20枚前後は備蓄して台風による瓦の割れや飛散に対応できるようにしてください。

また、瓦屋根はその湾曲した形状から、どうしても「隙間」が多くなりますので、葺き替え時の「野地板」はベニヤ板ではなく、少しコストは嵩みますが「杉板」の方が長持ちします。

2.モニエル瓦(洋瓦)

 セメントに圧力をかけて隙間から出た板状のセメント板を、瓦の長さにカットしたものが「コンクリート瓦」です。コンクリート瓦の1種である「モニエル瓦」は、セメント瓦に比べて大きく厚い特徴があります。1枚1枚が重いため、台風には強い瓦として人気です。

 モニエル瓦は築15年前後で塗装メンテナンスが必要となります。塗装後の剥離が起きやすいため、注意が必要です。
 塗装時のポイントとしては、劣化した粉上の塗膜(スラリー層)を極力除去する必要がありますので、十分な水洗いを心掛けます。また、「洋瓦シーラー」などの専用プライマーを塗布してスリラー層を固めると、剥離は起きにくくなります。

3.粘土瓦・陶器瓦

 「粘土瓦」は、よく古い民家や和風のお家の屋根に葺かれている、鼠色や銀ねず色の粘土素焼きの瓦です。粘土瓦には釉薬(ゆうやく)をかけておりませんが、表面の銀色がある間は雨水を弾き浸透しません。
 年数が経て銀色が落ちてくると、瓦内部に雨水が浸透し劣化することはありますが、十分な耐久性を誇り基本的にメンテナンスは不要と考えております(およそ50年くらいでしょうか)。

 「陶器瓦」には釉薬をかけて焼いていますから、雨水の浸透はほぼありません。耐久性は非常に長期に渡ります。私の経験でいうと、およそ40年ほど前に葺かれた陶器瓦(甕瓦)には、釉薬がかかっていない部分から劣化が進み、粉状になっていることがあります。

陶器瓦:和形
陶器瓦:平板耐風瓦

 いずれも十分な耐久性があり、基本的に、「塗装」の必要はないと考えております。
 ただし、「棟漆喰」には新築からおよそ20年ほどでヒビや欠けが起こります。棟が下がると、雨漏りすることもありますので、その場合は補修工事が必要です。

4.スレート瓦(コロニアル・カラーベスト)

 スレート瓦は、およそタテ40cm・ヨコ90cm・厚さ5ミリほどのとても軽い屋根材であり、セメントと骨材で出来ております。瓦の半分ほどを「重ねて」葺いてありますので、雨水が浸透し難く、勾配が緩い屋根でも大変重宝されております(通常の瓦屋根は「隙間」ができやすいため、ある程度の勾配が必要になります)。
 
 スレート瓦のグレードや費用もピンキリではありますが、一般的なスレート瓦は比較的劣化が早いため、定期的に塗装をして、太陽光や雨水の浸透を防ぐ必要があります。
 下地まで傷みが及ぶと面倒になりますが、スレート屋根は適切な「塗装」を施すだけでも下地を守ることができますので、築10年を目途に塗装をされることをお薦めします。
 積水ハウスの家に葺かれているセキスイ瓦も、コロニアル瓦と似ている屋根材です。

葺き替え時期の判断

コロニアル瓦は、見積もり点検の時、梯子を使い屋根に上がりますが、傷んでいる屋根は歩くとたわみます。このような状況でしたら、お施主様にご報告し「葺き替え」を検討していただきます。この屋根のたわみは、野地板がベニヤ板の場合が多くその脆弱化によるものです。
葺き替え工事では、野地板やルーフィング(防水シート)の交換、痛んだ垂木の補強や交換なども必要となります。

コロニアル瓦は、見積もり点検の時、梯子を使い屋根に上がりますが、歩くとたわむような屋根でしたら、お施主様にご報告し葺き替えを検討していただきます。この屋根のたわみの原因は、野地板がベニヤ板の場合が多くその脆弱化によるものです。

5.トタン屋根

 トタン屋根は、今は住居より倉庫などに使われていることが多いと思います。
 トタンはガルバリウム鋼板などの他の金属よりも錆びやすく、とりわけ長崎市南部では「塩害」が激しいため、錆による劣化を抑えることが長持ちさせるコツです。
 施工時は「けれん」を行った後、しっかりと錆止め塗料を塗っていきます。また、錆が特に酷い場合は、錆を固めるタイプの専用塗料を用いて、その上に錆止め塗料を重ねていきます。

 傷みがひどく穴が開いている場合などは、ガルバリウム鋼板に張り替えてしまった方が良いケースもあります。ガルバリウム鋼板もそれほど高い屋根材ではありませんので、塗装より安く済む可能性もあります。

トタン屋根は「鉄」と「亜鉛」の合金です。

6.ガルバリウム鋼板屋根

 ガルバリウム鋼板はアルミニウム・亜鉛・シリコンの合金なので、非常に丈夫であり、最近はよく使われるようになりました。また、トタンに比べて錆びにくいのが特徴です。
 しかし、ここ長崎市南部では、このガルバリウム鋼板でさえ(その他錆びにくいといわれるアルミサイディング・アルミサッシ)も錆びてくることがあります。ですから、トタン同様、錆による劣化を抑えるような施工がポイントです。

 ガルバリウム鋼板は、比較的安価であり、また、平板で雨水が侵入しにくいメリットもありますので、工事費を抑えたい時や、屋根の勾配を緩やかにしたい時に使用することが多いようです。

葺き方は瓦棒葺き(縦)と横葺きがあります。

7.陸屋根

 陸屋根(屋上)は、RC(鉄筋コンクリート)構造の戸建て住宅でたまに見かけます。
 陸屋根では、塗装や葺き替え工事ではなく、シート防水とウレタン防水を中心とした防水工事を行います。

 工事種目ごとの予算目安は、以下のとおりです。

工事の種類耐候年数費用(㎡)箇所
ウレタン防水10年4,000~6,500円すべて
シート防水(ゴム)10年3,500~7,000円陸屋根
シート防水(塩ビ)15年3,500~7,000円陸屋根
FRP10年4,500~6,500円ベランダ
アスファルト防水15年5,000~7,500円陸屋根
具体的な状況により異なりますので、あくまで目安です。

8.折板屋根

 折板屋根は、1枚の長さが家の端から端まであり「継ぎ目」が少ないため、雨漏れの心配は少ないというメリットがあります。セキスイ住宅の屋根に多く使われている印象です。

 折半屋根も金属系の屋根ですので、錆びないようにするメンテナンスが必要です。
 また、鉄板に塩ビシートを被覆しており、普通の塗料を直接塗ることはできないため、塗装時には専用の下塗りを使うことがポイントです。

工場や倉庫などの大きな空間を持つ建物の屋根に適しています。

 以上が、いろいろな屋根材についてでした。私たちおおくま塗装のように、長年塗装工事を行っていると、どうしても、次の塗替え時期になると「屋根はもうそろそろ交換したい…」という意見も出てきやすいので、屋根の交換なども行っております。

 塗装工事でメンテナンスできるのか、屋根の葺き替えをしたほうが良いのかも、無料診断をさせていただきますので、以下よりお尋ねください。


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